― スペシャル対談 ―
MINEDENIMコラボ商品誕生

 

MINEDENIMとのコラボデニムが登場！

スタイリストの野口強さんは、MINIMAL WARDROBE主宰の干場義雅が20代のころから憧れるファッションの師匠。そんな野口さんがディレクションをするMINEDENIMは、干場が溺愛するデニムブランドのひとつです。そこで今回、干場がMINIMAL WARDROBEとのコラボを提案。ふたりの対談から浮かび上がった、デニム愛とそのファッション観とは？

 

出会いは20年以上前

干場　強さんとは、僕が社会人になって初めて入社した出版社時代からのお付き合いですから、かれこれもう20年以上経ちますよね。

野口　そうだね。最初に会ったのが、干場がワ―ルドフォトプレスの『MA-1』編集部にいたときだから。あのころの干場は、ライダーズかミリタリーコートにデニムのイメージしかなかったけど。

干場　当時は、右も左もわからない状態で、強さんにはいろいろとご迷惑をおかけしました。でも、あれからずっと強さんは僕の憧れの存在なんですよ。

野口　そんなことはないでしょう（笑）。

干場　いや、ファッションの師匠のひとりですよ。僕が勝手に思っているだけですけど（笑）。ほかの出版社に移ってからも、海外のショー会場や取材でお会いするたびに、いつもカッコいい着こなしをしていて、めちゃくちゃ刺激を受けていましたもん。

野口　そりゃ、うれしいね（笑）。

干場　今日は、僕が愛用しているMINEDENIMのデニムを持ってきました。若干お直ししたり、カットオフしていますが、これがいつもはいている「スタンダードスリム」。こちらはたぶん強さんがはいている黒の「スーパースリム」ですね。あとはリジッド（未加工のデニム）の状態で買った「スリムテーパード」です。

野口　そんなに買ってくれているんだ（笑）。

干場　ええ。最初に「スタンダードスリム」を買ったら、かたちはいいし、はきやすいし。それで、すっかりハマっちゃって。

 

黒のスウェードブーツに似合う一本

干場　突然ですが、強さんにお願いがありまして。

野口　何よ、急に？

干場　MINIMAL WORDROBEとコラボデニムをつくっていただけませんか？

野口　きたね。こないだゴハンに行ったときにちょこっと言っていたやつ？

干場　そうです、そうです。

野口　ぜひ、やりましょうよ。干場が言わなくても、実はこっちからお願いしようと思っていたぐらいだから（笑）。

干場　え、本当ですか？

野口　だって、面白そうじゃん。干場みたいな人って、ほかにいないから（笑）。

干場　どういう意味ですか？（笑）

野口　干場のファンってさ、大人で、それなりの仕事をもっていて、ファッションに興味がある人たちじゃない？　それに、いまじゃ干場もビシッとスーツが似合う年齢になったから。そういう人たちにもMINEDENIMをはいてもらいたいんだよね。

干場　ありがとうございます。では遠慮なく、僕の煩悩をぶつけさせていただきます（笑）。

野口　どうぞ、どうぞ（笑）。

干場　僕は黒のデニムをはくことが多いんですが、強さんの影響もあって、足元はだいたい黒のスウェードブーツなんです。で、裾のへんは真っ黒で、太もののあたりはちょっと色落ちした絶妙なグラデーションのデニムを、「スタンダードスリム」でつくっていただけないかと。

干場　MINEDENIMの魅力って、前に強さんが言っていたように、「お座敷でもはける」ことだと思うんですよ。ただ、僕が持っている「テーパードスリム」のセルビッチ付きのモデルは自分にはちょっと太くて。

野口　だって、それはそういうかたちなんだもん（笑）。

干場　ですよね（笑）。実は以前、お店の方から「スーパースリム」は湾曲したパターンを採用しているので、セルビッチ付きのデニムでつくるのは難しいと聞いたんです。

野口　似ているように見えるかもしれないけど、パターンがまったく違うんだもん。「スーパースリム」は、どちらかというとスラックスみたいな感じで、脚をきれいに見せるためにヒップから太ももにかけてカーブさせているけど、「テーパードスリム」は70〜80㎝幅のシャトル織機でデニムを織っていて、セルビッチを残すためにストレートに裁断しているからさ。

干場　なるほど。もちろん、これはこれで満足はしているんですけど、ないものねだりといいますか。「スーパースリム」を生の状態から育てたいんですよね。セルビッチがあるのとないのとじゃ色落ちの具合が全然違うじゃないですか。

野口　そりゃ、そうだよ。耳のアタリが出るから。

干場　だから、まったく同じじゃなくていいんです。極力「スーパースリム」に近いかたちにしてもらえれば。

野口　パターンを引き直さなきゃいけないけど、ジャケットにも合わせられそうだし、いかにも干場っぽいよね。さすがテーラーの倅（笑）。

干場　じゃあ、いいんですか？

野口　やるって言っちゃったからね（笑）。

スキニーだったらワンサイズ上を

干場　ちょっと安心したんで、ここからは別の話題に移らせていただきます。

野口　いいですよ。

干場　僕のデニムスタイルは強さんの影響が大きいのですが、なかには選び方で迷ったり、どうはけばいいのかわからないという人も多いと思うんです。そういう人たちに何かアドバイスをいただけますか？

野口　まずは食わず嫌いせずに、自分が好きなものにとにかくトライすればいいんじゃないの？　特に、男なんて選択肢が少ないからさ。好きなデニムをひと通りはいてみたら、自分の体型に合うものが絶対あるはずだって。でも、日本人ってコンプレックス隠したがる人が多いじゃん。

干場　そうですね。

野口　そんなの気にしていたらダメでしょ。ちょっと太ももが太いと思っても、隠していたらどんどん太くなっていくじゃない。見られることで体型も変わってくるから。

干場　あとデニムって、流行もあるじゃないですか。スキニーだったりスーパースリムだったり、その一方でワイドが出てきたり。

野口　若いコたちは、スキニーでもいいと思うよ。ただ我々みたいなオジサンは、スキニーだったらワンサイズ上ぐらいにしたほうがいいんじゃないかな。オジサンがピッチピチのデニムをはいていたら気持ち悪いじゃん。ピタッとなっている人がいるでしょ。あれは本当にやめてほしい。

干場　そこは、すごく大事なんですね？

野口　そう。やっぱり少し余裕がないと。

干場　夜遊びに行ったりすると、めちゃくちゃフィットしたデニムで、膝やふくらはぎのラインが出ちゃっている男の人がいますけど。

野口　完全にNGでしょう（笑）。

干場　サイジングはそうだとして、色はどうですか？　

野口　万人受けするのは、黒とちょっと濃いブルーとか。でも、大人だったらさっき話題に出たリジットのほうがいいかもね。

干場　個人的な質問になりますが（笑）、ブラックデニムをはいたとき、ほかに合わせるアイテムの色はどうすればいいんでしょうか？

野口　真っ黒というのもひとつありじゃない？　あと、黒に茶色とかを合わせてもいいよね。

干場　真っ黒に、茶色のライダーズとか？

野口　うん。スウェードでもいいし、あんまり合わないものってないんじゃないの？　でも、大人はやっぱりきれいにコーディネイトしたほうがいいと思うんだよね。ニットでもいいし、シャツでもいいし、ジャケットでもいいし、チェスターフィールドコートでもいい。

干場　その場合、色はあまり使わないほうがいいですか？

野口　いや、色は使ってもいいと思うよ。

干場　本当ですか？　強さんのスタイリングを見ていると、あまり色を使っているイメージがないんですけど。

野口　それは時と場合によりますよ。お題ありき。干場も編集者だったらわかるでしょ？

干場　でも、強さん自身のスタイルって、真っ黒が多いじゃないですか。

野口　自分はね（笑）。でも、提案するときは別ですよ。

干場　提案はするけど、自分はしないっていうことですか？

野口　うん。だって、似合わないんだもん（笑）。自分がキャメルのタートルとか似合うと思う？

干場　もちろん、似合うとは思いますよ。でも、強さんはストイックに黒を着ているイメージしかないので。

野口　だから、自分ではあんまりそっち方向にはいかないようにしているの。ただ、ほかの大人には着てほしいと思うわけよ。それにTPOにもよるじゃない？

干場　なるほどね。でも、僕は強さんを見て、ずっと色を使わないほうがいいと思っていました（笑）。

 

黒は、真っ黒のままはきたい

干場　それこそ強さんの場合、デニムはリーバイスのヴィンテージものから何でもお持ちですよね。

野口　でも、実際はくのって5本ぐらいなんだよね。

干場　先日、同じ黒のジーンズだけで約50本持っているって言っていませんでしたっけ。

野口　あるよね。前にはいていたのも含めたらね。でも色落ちしたら、もうはかない（笑）。

干場　黒は、真っ黒のままはきたいということですか？

野口　そう。加工や色落ちもいいけれど、自分は真っ黒をキープしてはいきたいわけよ。

干場　そういう色落ちしないデニムはつくらないんですか？

野口　つくりたいけど、そしたら誰も新しいのを買ってくれないじゃん（笑）。

干場　確かに（笑）。ところで、インディゴブルーのデニムの場合、色落ちのしかたも重要だと思うんですけど、強さんはどんな感じのものが好きですか？

野口　ヴィンテージっぽいのが好きだよね。1本ずつみんな表情違うでしょ。

干場　そうですね。じゃあ、（MINEDENIMの旗艦店の）２階のオーダーコーナーに並んでいたデニム生地の見本は、もしかしたら強さん所有のヴィンテージのストックから、サンプリングした色なんですか？

野口　そういうのもあるよ。

干場　ここのお店のあるのは、いわば強さんの全デニムコレクション？

野口　それは言い過ぎでしょう。ちゃんと加工屋さんからもアイデアをもらいながらやっていますから（笑）。

干場　僕なんて、強さんが昔はいていたデニムを雑誌やネットで見て、それと似たようなものがないか、都内近郊の古着屋を探し回ったりしていたんですが、やっぱりないんですよね。

野口　だって、古着は同じものがないんだもん。そこがいいところでもあるけれど。

 

ファッションの影響は身近な人から

干場　ところで、強さんがファッション的に影響を受けた人っているんですか？

野口　身近な人からのほうが多いかな。自分がアシスタント時代に通っていた古着屋のスタッフやヒステリックグラマーの北村（信彦）さん、干場の同級生の宮下（貴裕 ※タカヒロミヤシタザソロイスト.のデザイナー）やアンダーカバーのジョニオ（高橋盾）とか。

干場　へえ。

野口　それぞれみんなスタイル違うし、アプローチのしかたも違うけど、昔からそういう人たちにいい刺激をもらっているよね。

干場　話は変わりますが、コロナ禍の外出自粛生活ももうすぐ1年じゃないですか。ランウェイショーもほとんどなくなって、強さんはどんなところからファッションのインスピレーションを得ているんですか？

野口　ショーの配信を観たりするけど、配信でも面白い提案をしているメゾンはあるから、それはそれで刺激をもらうことはあるけどね。

干場　こんなに長い期間、海外出張やロケに出られなかったことはなかったですよね。

野口　ミラノやパリのコレクションも30年近く観に行っていたから。パスポートに1年間、スタンプがないのは初めてだよ。

干場　そうですよね。そんな状況下で、強さんはどんな服を買っているんですか？　

野口　去年はスウェットシャツとか、家着みたいなものばっかりだよね。洋服に対しての欲が薄れているから、家の中のものをネットで買ったりするほうが多かったかも。で、あまりにもストレスが溜まり過ぎて、こないだボッテガ・ヴェネタで、いままで見たことないぐらい太いパンツを買った（笑）。

干場　珍しいですね。

野口　笑えるよ、遠山の金さんみたいなパンツ。こんなに太いの（笑）。一応、自分のなかでは太いパンツコレクションというのがあるからさ。

干場　僕が見たことあるのは、（メゾン）マルジェラのですかね。

野口　あとはドリス ヴァン ノッテン、ボッテガ・ヴェネタ、ヴェロニク ブランキーノあたりかな。

干場　でも、外からの刺激を受けなくても服は買うんですね。

野口　自分だって買っているでしょ？

干場　僕が買っているのは、MINEDENIMばっかりですよ（笑）。

野口　それはそれは。ありがとうございます！（笑）。

 

野口 強

スタイリスト／「MINEDENIM」ディレクター

1964年生まれ。大阪府出身。25歳でスタイリストとして独立し、以降ファッション誌や広告を中心に活動。いまなお絶対的存在感を放つレジェンドであり、スタイリストという職業を世に広めた人物としても知られている。「MINEDENIM」では、ヴィンテージはもちろん長年モード見続けてきた経験と審美眼で、洗練されたデニムスタイルを提案している。

MINED
MINEDENIM FLAGSHIP STORE
東京都渋谷区神宮前2-5-8
Tel 03-6721-0757
営業時間: Monday-Sunday 12:00-19:00
https://minedenim.jp

 

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